こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

ガラス 砂の宝石(第68号)

ガラスの歴史や製法、種類を紹介した一冊。

始まりは真っ白な砂の山。

オーストラリアから輸入された珪砂だ。ガラスの原料となる。

「砂」というかたちでなくとも、石英が含まれるものは多くある。

だからガラスの歴史は古い(ガラス年表)。なんと紀元前から作られていたのだ。

7ページにあるガラス製品はどれも紀元前のもの。でも今のガラスのように透明感のあるものではない。原料に金属など不純物が含まれていたからだ。

8ページ、「目玉もようのビーズ」づくりは、ちょうどトンボ玉づくりと似ている。

「とんぼ玉」の作り方【自宅でガラス工芸をハンドメイド】

 

今でこそ身近になったガラス製品だが、かつては宝石のように貴重なものだった。作るのにとても手間がかかったからだ。

エポックメイキングとなったのが、吹きガラスの手法。

現代でも使われているおなじみの技法だ。

製法は瞬く間に広まっていき、各地でガラス製品が作られるようになってゆく。有名どころではヴェネツィアン・グラスがある。

クリスタル・ガラスが出始めると、ガラスはますます輝きを増していく。シャンデリアの煌めきは宝石と見紛うばかりだ。

 

しかし、意外にも板ガラスを作るのには苦労があった。今ある、ありふれた窓ガラスが登場するには、20世紀まで待たなければならなかったのだ。予てよりガラスは窓にも使われていたが、昔のヨーロッパでは「クラウンガラス」という円盤型のガラスをつなぎ合わせて使われていた。

28〜29ページは、そのクラウンガラスを使った窓ガラスが紹介されている。この家はデューラーの住まいだったところだ。今見ると面白いデザイン性も、板ガラスを作れない時代の産物だった。

デューラーとロマンチックな街並みのニュルンベルク | 地球の歩き方

 

 ところで、クリスタルガラスはさわっているだけで、とてもふしぎな音をだすこともあります。

 まず、ブランデーグラスやワイングラスのように、まるみのある形をしたクリスタルガラスを、机の上におきます。つぎに指を水でしめらせて、そっとグラスのふちにあて、そのままふちにそって、円をえがくように指をすべらせます。あまり指先に力を入れないよう、注意しましょう。何周かしているうちに、ふしぎな音が聞こえてきませんか。

やってみたかったけれど、残念ながら家にはクリスタルのグラスはない。普通のワイングラスすら存在しないのだ。大概酔っ払って洗ったときに割ってしまうので……。家にある方は試してみてほしい。

しかし。

さいごに

とっておきの話をしましょう。

それは、「ガラスはうまれかわる」

ということです。

私が割ってしまったグラスも、リサイクルされて、どこかで生まれ変わっているのかもしれない。

最後のページは砂浜。

捨てられてガラス瓶のかけらは、波や砂に洗われてどんどん小さくなっていく。

ガラスは砂からできて、砂にもどっていくのだ。

人の手で砂は“宝石”に生まれ変わる。ガラスはまさに砂の宝石なのだ。

酒造会社で見た手作りガラス

寒梅酒造。おいしいお酒作ってます。