こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

コテングコウモリを紹介します(第324号)

エゾクロテンのすむ森で(第314号)』で書いたイベントでは、先生がこのコテングコウモリの剥製を持ってきてくださっていた。思いの外ずいぶんかわいらしい。生きているときはどんな生きものだったんだろう?

というわけで読んでみたのが、この『コテングコウモリを紹介します』だ。

作者は、

僕は子どものころから動物が好きでした。サッカーや野球もしましたが、テレビは動物番組、愛読書は動物図鑑でした。中学生になると野鳥観察に夢中になり、朝3時起きまでして自転車で出かけていました。

ダーウィンが来た!」大好き、今や野鳥観察に夢中の、わが家の息子を思わせる感じの人だ。最初に就職したのは、環境アセスメント調査の会社。野生生物の調査をしていたという。子供の生きもの好きがいつまで続くかわからないが、田舎で生活しながら、生きものの観察を趣味にして暮らしたいと口にするので、こういう仕事に就いたら楽しいのかもなあと思った。

コウモリの生態についてもさることながら、感情や心の動きが率直に書かれていてとても面白い。『コウテイペンギン撮影記(第201号)』でだだ漏れの感情を書きまくっていた内山晟氏と張るんじゃないかと思う。

コウモリを調べて欲しいと依頼された、1回目の調査でコウモリを発見できなかった時には、

自分のことを動物博士のように思っていた僕はとてもショックを受けました。

とか、

海外のホームページで「BAT DETECTOR」というコウモリ探知機があることを知ったときは、

こんな便利なものがあったのか!1台が15万円もします。でも、迷わず購入しました。

とか、

あるときは、仕事でコウモリの調査、その帰宅後も徹夜でコウモリ探し、またあるときなどは、まだ見たことのないコウモリの情報をもらったので、車で片道6時間かかる場所を徹夜で往復しました。

とか。

「コウモリの仕事」が終わってからも、コウモリを追い続ける作者。あるとき読んだ論文に、枯れ葉で眠るコテングコウモリの写真があるのを見て、自分も撮影したい!と思い立つ。それから探しまわること4年。ついに「枯れ葉にくるまって眠るコテングコウモリ」の撮影に成功するのだ。その後も「雪のなかで眠るコテングコウモリ」の撮影を目指し3年目に発見したり、「子育てをするコテングコウモリ」を狙っていたところ、友人に偶然見つけてもらって撮影したり。

次なる目標は「子育てをするメス」の様子を撮影すること。子育て初期のメスは、人の目の届かない木の高い場所で眠っているらしい。

そこで僕は最近、木のぼりの練習をはじめました。

この号が出てから5年あまり。果たして「お母さんに抱かれて眠るコテングコウモリのかわいい赤ちゃん」の写真は撮れただろうか?

hirofoto.com – 写真家 中島宏章のウェブサイト

月刊 たくさんのふしぎ 2012年 03月号 [雑誌]

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