ふだん何気なく食べているワカメ。そのワカメについて何を知っているだろうか?
私が知っているのは、せいぜい「どう食べるか」ということくらい。こんなの知っているうちには入らない。ワカメだけではない。子供が大好きな海苔の原料にしても、子供が好まないヒジキにしても、トコロテンの原料であるテングサにしても、そして出汁に欠かせないコンブにしても。その何を知っているだろう。買い物や料理の対象として見るだけで、どんなところに生えどんな生活をしているのか、これまで知ろうともしていなかったことに気づかされた。
本号は「自然教室の先生(著者)」が、地元の少年と東京から遊びにきたその友人、という二人の小学生に、海藻について講義をする態で書かれている。
小学生には難しいのでは?と思ってしまうくらい内容が濃く、盛り沢山の内容で作られている。本当に40ページに収まっているのだろうかと思わず確認してしまったほどだ。家の子にも当時は難し過ぎたようで、前に読んでやったことも忘れ熱心に読んでいた。しかしまあ、海藻の光合成や、太陽の光と色素の関係など、今回もどこまで理解したかな?という感じだ。
あれもこれも伝えたい!という気持ちが目一杯伝わってくる一冊。「たくさんのふしぎ」でもとりわけ印象に残るものとなっている。
著者の名前で検索したら、こんな素敵なエッセイを見つけた。
思わず読み耽ってしまったが、やはり海藻の話がこれでもかと詰め込まれている。このエッセイは「テーマは特に定めず、それぞれの執筆者にお任せし」という趣向で書かれたもののようだ。話があちこちに飛ぶ自由な書きっぷりで、海藻に対する飽くなき愛が存分に伝わってくる。