こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

世界の納豆をめぐる探検(第443号)

高野さんが!たくさんのふしぎに!!

今年度のラインナップを見たときの驚きときたら。思わず声をあげてしまったくらいだ。

角幡唯介(『極夜の探検(第419号)』)のときもびっくりしたけど、高野さんはそれ以上だった。まあ二人は探検部の先輩後輩同士、いっしょに本(『地図のない場所で眠りたい』)も出してる。その縁で「ふしぎ」を書いてもおかしくない。

むしろ高野さんの方が向いてるかも?……と思ったけど、高野さんのフィールドには「子供向け」でもイケそうなトピックがあまりないんだよな。面白いけど刺激が強すぎるものばかり。子供は(将来も)真似しちゃダメだし、まず真似できるはずがない。納豆は子供にも安心して「食べてもらえる」うってつけのネタだ。

読み始めたときはしばらく、高野さんの本だと意識しないくらい、フツーにいつもの「ふしぎ」として読んでいた。ああ高野さんの本だなぁと思ったのは「納豆の民」という言葉が出たときだ。

高野さんをご存知ない方は、なんだ高野さん高野さんうっさいな〜って思うかもしれない。でも、これはちゃんと「たくさんのふしぎ」でもあるのだ。むしろ「たくさんのふしぎ」らしいといってもいいくらい。高野秀行を知っている人は知ってるなりにもっと楽しめるし、知らない人はもっともっともっと楽しめると断言できる。

高野秀行 on Twitter: "この本は子供のために書いていますが、全く手加減してません。アジア・アフリカ納豆のダイジェストであり、私の納豆3部作の完結編でもあります。… "

46ページは必読。中途半端に引用することはしない。全部読んでこのページにたどり着いてほしいからだ。なんかもうこの『世界の納豆をめぐる探検』は、私に対するクリスマスプレゼントなんじゃないかと思えてきた。チキンなんか食ってる場合じゃない。納豆を食べねば。

スケラッコさんの絵もマジで素晴らしい。高野さんの本がこんな素敵なイラストに彩られるなんて感激だ。

 

比べるものではないかもしれないが、角幡唯介の「ふしぎ」とはホント対照的。

『極夜の探検』がモノクロ基調なのに対し、こちらはカラフルそのもの。

角幡唯介のは人の気配が皆無なのに、高野さんのは人が出てこないページはない。本当にない。

同じ犬が出てくるのに、片や喰われる寸前、片や納豆を食わされ。

自分だけを頼りに旅した角幡唯介に対し、高野さんはあらゆる国の人とつながっている。あまつさえ、奥様片野ゆかさん、愛犬マドとともに食卓を囲む様子まで描かれる。

 

高野さん久しぶりの新刊ということで売れに売れてるのか、Amazonでは取扱中止ちゅう。今は紹介ページを貼ることもできない。12月20日が発売日のはずなのにどゆこと!?これで終売ってことはありませんよね?

書店になら置いてあるかも or 予約できるかも。とにかく、買うなら今です。すぐ本屋さんへ走れ!