こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

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御殿場線ものがたり (たくさんのふしぎ傑作集) (第12号)

東京駅から新幹線の「ひかり号」に乗って、25分くらいたったら、車窓のながめにちゅういしてください。相模平野をすぎて、みじかいトンネルがつぎつぎにつづく丘のなかを走っているはずです。 と、とつぜん、あたりがあかるくひらけ、左に相模湾、右前方に箱…

ドキドキドキ心ぞうの研究 (たくさんのふしぎ傑作集)(第31号)

子供が赤ちゃんだった頃、心拍数の高さに驚いたことがある。胸に手を当てると、 トクトクトクトクトク とものすごい速さで脈打っている。夫と、小動物みたいだねーと話していたものだ。その小動物も、今や中学生にならんとしている。心拍数も大人なみに落ち着いてきた…

アメリカ・インディアンはうたう (たくさんのふしぎ傑作集)(第18号)

朝刊を読んでいたら、『アメリカ・インディアンはうたう』に触れた記事が出ていた。 多彩な音楽の絵、詩の「片思い」 故堀内誠一さん×谷川俊太郎さん、『音楽の肖像』出版:朝日新聞デジタル 民族の多様性や社会的弱者へのまなざしをたたえた『アメリカ・イ…

ナイル川とエジプト (たくさんのふしぎ傑作集)(第35号)

“エジプトはナイルのたまもの” 世界史を勉強すれば当たり前のように聞く言葉だ。エジプト文明が栄えたのはナイル川のおかげ、みたいな意味でとらえていたように思う。ヘロドトスの『歴史』からひっぱってこられたものだけど、実はそういう意図で書かれたので…

つばさをもった恐竜族 (たくさんのふしぎ傑作集)(第30号)

『つばさをもった恐竜族』……ふんふん、鳥のご先祖の話ですよね?だったら『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』をいっしょに読んでみたら捗るんじゃね? と思って、川上先生の本を読み始めたところ。 初っ端、恐竜の分類でつまずく。鳥盤類?竜盤類って?角竜類だ…

手紙で友だち 北と南 (たくさんのふしぎ傑作集)(第60号)

これは、二つの学校の児童たちが、1年間、毎週手紙を交換し続けた記録の本だ。 二つの学校とは、北海道は北見市にある開成小学校と、沖縄は北谷町にある北谷第二小学校。北海道と沖縄だから「北と南」だが、自治体名にはどちらも“北”がつくから面白い。 北…

星空はタイムマシン (たくさんのふしぎ傑作集)(第41号)

小惑星探査機はやぶさ2による、サンプルリターンのミッションが成功した。 カプセルが到着したJAXA相模原キャンパスには、以前見学に訪れたことがある。そればかりでない。種子島宇宙センターに内之浦宇宙空間観測所、調布航空宇宙センター、筑波宇宙センタ…

ヒグマのくる川(第51号)

『ヒグマのくる川』の舞台となるのは、知床半島のとある川。 冒頭の地図と鳥瞰絵図を見て、ひょっとしたらと思ったのだが、 知床半島のなかほどに、サケをとる漁師たちの番屋があり、1本の林道がつづいています。 この番屋の手まえには橋があり、小さな川が…

粉がつくった世界 (たくさんのふしぎ傑作集)(第33号)

私は、余った食品を何かしら加工して食べきるのが好きだ。たとえば、節分の豆。じゃこと炊き合わせて煎り豆ご飯にしたり、五目豆に仕立てたり。きな粉を作ったこともある。ミルサーで粉砕して、ちょこっと味見。香ばしくておいしいが、舌触りはよくない。そ…

きみはなにどし?(たくさんのふしぎ傑作集)(第94号)

今年も早一か月が過ぎた。 年末年始ならともかく、こんな中途半端な時に「きみはなにどし?」もクソもないもんだ。そういえば節分というのも年女年男が関係するではないか。しかし、節分もとうに三日を過ぎている。時期を逸していることに変わりはない……。 …

ブラックバス(第16号)

この本の最後は次のように締めくくられている。 アメリカでは、つり場をだいじにする法律があって、魚がすくすくそだち、このあいだは、なんと体長83センチメートル、おもさ10キログラムというすばらしいブラックバスがつれた。 日本でも、そんな魚がそだつ…

劇団ふしぎ座 まもなく開幕!!(第71号)

子供の学校ではもうすぐ学芸会が開かれる。 オーディションでうまくいかなかったという息子は、希望の役にありつけなかったようだ。仕方がない。 私は衣装作り(といっても裁縫系ではなく工作に近いもの)のボランティアに行ったり、指定のものを激安衣料品…

拝啓・手紙です (たくさんのふしぎ傑作集)(第38号)

若いころ、一度だけラブレターをもらったことがある。バイト先の人だ。 内容はほとんど忘れてしまったが「好きだ」という言葉があったことだけは覚えている。真っ白な便せんに整った字で綴られた手紙。嬉しかった。 私も心を込めて返事を書いた。断りの手紙…

浜辺のたからさがし(第97号)

桜島で大規模噴火による大量降灰を想定した車両走行実験を実施、というニュースを見た。 7月24日、本日も快晴のなか、「大量軽石火山灰を想定した車両走行・道路啓開作業検証実験」の準備走行を実施しました。#降灰 #走行実験 #桜島 pic.twitter.com/xwEDPSI…

ぼくらの天神まつり (たくさんのふしぎ傑作集) (第48号)

はやぶさが打ち上げられた内之浦は鹿児島県肝属郡肝付町にある。この町には、高山やぶさめ祭という面白いお祭りがある。 高山やぶさめ祭 | イベント | 【公式】鹿児島県観光サイト かごしまの旅 流鏑馬そのものは珍しくはないが、ここの射手は中学生が務める…

ある都市のれきし―横浜・330年 (たくさんのふしぎ傑作集) (第10号)

運転免許証の更新に行ってきた。 自分の本籍地が横浜にあることを久々に思い出した。婚姻届を作成した時、夫の実家の住所にしたからだ。しかしのちに夫の実家は家を売って引越をし、今やその住所にいる関係者は誰もいない。自分とそれに関わる者が、関係のな…

どうくつをたんけんする (たくさんのふしぎ傑作集) (第7号)

転勤で山口県に住んでいたとき、親や友人たちを必ずといっていいほど案内していたのが秋吉台。社会の教科書でおなじみの場所だが、案外行ったことのない人が多い。私自身、山口に来て初めて訪れたくらいだ。 『どうくつをたんけんする』の舞台も秋吉台。 主…

10才のとき (たくさんのふしぎ傑作集) (第73号)

福永祐一がダービージョッキーになった。 ウィニングランの馬上で涙をこらえる様子を見て、そういえばこの人も偉大な父の栄光に影響を受けざるを得ない人だったなあと思い出した。勝利ジョッキーインタビューで、お父さんにいい報告ができますね、みたいなこ…

飛びたかった人たち(たくさんのふしぎ傑作集) (第66号)

鳥は飛べる形 空を飛べる形僕らは空を飛べない形 ダラダラ歩く形 ダビンチのひらめきとライト兄弟の勇気で僕らは空を飛ばないかわり月にロケットを飛ばす ー↑ THE HIGH-LOWS ↓「バームクーヘン 」アルバム『バームクーヘン』より 「空を飛べない形」であるに…

おしっこの研究 (たくさんのふしぎ傑作集) (第14号)

いまから「おしっこの研究」というのをやります。 おしっこというのは、小便とか尿とかいう、あのおしっこのことです。研究というのは、ものをしらべて考えて、もうこれ以上先のないところまでしろうということです。 作者は柳生弦一郎。 からだに関する絵本…

庭にできたウサギの国 (たくさんのふしぎ傑作集) (第4号)

著者は河合雅雄。別に草山万兎というペンネームをもっている。 「たくさんのふしぎ」でも、草山万兎名義で 『昆虫少年の夢 オオムラサキ舞う森(第302号)』 『野生動物の反乱(第313号)』 を手がけている。 「ふしぎ」の一冊目がウサギ、ペンネームにもウ…

ぐにゃぐにゃ世界の冒険 (たくさんのふしぎ傑作集)(第32号)

私たち夫婦は、キセルというバンドのファンだ。かれこれ10年以上になるだろうか。地方に住んでいた頃はライブに行ける機会も少なかったが、今は都合がつく限り参加している。そしてなぜか、大人だけでゆっくり楽しみたいのはやまやまなのだが……毎回子供と…

ことばをおぼえたチンパンジー (たくさんのふしぎ傑作集)(第9号)

「ことばをおぼえたチンパンジー」とは、すなわちアイのこと。 「図形文字を使ったことばの勉強」に参加することになった3頭のチンパンジー。なかでも「いちばんかしこい生徒」が、2才半から勉強を始めたアイだ。 本書の最後は、 はじめて会ったときは1才…

恐竜はっくつ記 (たくさんのふしぎ傑作集) (第5号)

小さい頃、恐竜が好きだった。子供ではなく私が、だ。 デパートの恐竜展に連れていってもらったこと、ステゴサウルスの模型を買ってもらったことを今でも覚えている。恐竜図鑑も熱心に読み込んでいた。その後は続かなかったため、知識としては30年前で止ま…

魔女に会った (たくさんのふしぎ傑作集) (第95号)

きょう、子供は魔女に会った。 魔女というより、鬼婆だろうか。もちろん鬼婆とは私のこと。子供の机はリビングにあるが、机の上のみならず机周りは要るもの要らないものがごっちゃになって積み重なっており、目に余ることこの上ない。新学期を前にして、いつ…

外国の小学校 (たくさんのふしぎ傑作集) (第13号)

アメリカの小学校は、土曜日はいつも休みなんだ。つまり週5日制。 アメリカ合衆国はサウスサンフランシスコ市にある、ポンデローサ小学校を紹介した文の一部だ。この本が出版されたのは1986年。私も小学生、その頃は毎週土曜日も学校に行っていた。 『クモ…

アラスカたんけん記 (たくさんのふしぎ傑作集) (第20号)

大竹英洋の”ノースウッズシリーズ”について紹介してきた。 その彼が影響を受けた写真家といえば、ジム・ブランデンバーグ。 だが「多大な影響を与えた、もう一人の写真家」がいる。 星野道夫だ。 ジムの写真集『Chased by the Light』を読み終えた彼は、謝辞…

雑木林の1年 (たくさんのふしぎ傑作集)(第24号)

子供がお気に入りの公園がある。 ちょっとした起伏がある土地に雑木林が広がっている、自然豊かなところだ。ほどよく管理された公園は近隣の人びとに愛され、季節毎に植物や昆虫、野鳥などの観察イベントも開かれている。もうちょっと近所にあればちょくちょ…

日本の自動車の歴史 (たくさんのふしぎ傑作集) (第82号)

本号の著者山本忠敬は、のりもの絵本で有名だ。乗り物好きのお子さんがいて、絵本を読んでやる方なら、きっと手に取ったことがあるのではないだろうか。 家でも名作『しょうぼうじどうしゃじぷた』(挿画担当)を始め、どんなにかお世話になったことだろう。…

草や木のまじゅつ (たくさんのふしぎ傑作集)(第3号)

「草や木のまじゅつ」とは、草木染めのこと。 草木染めといって思い出すのが志村ふくみ。中学か高校だかの教科書に、彼女の書いた文章があったのを今でも覚えている。と思って調べてみたら、それを書いたのは志村氏自身ではなく大岡信。「言葉の力」という作…