こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

2018-01-01から1年間の記事一覧

宇宙人に会いたい(第205号)

7年くらい前、はやぶさの帰還が話題になった時、私たちは鹿児島にいた。 はやぶさが打ち上げられたのは内之浦宇宙空間観測所。住んでいたところから遠くないこともあり、何回か施設見学に訪れたことがある。中にある宇宙科学資料館は、トリップアドバイザー…

大草原のノネコ母さん (たくさんのふしぎ傑作集)(第130号)

今週のお題「ねこ」にちなんで、『大草原のノネコ母さん』を取り上げる。 私は子供の頃から大のネコ好きだ。しかし、転勤暮らしなので飼うことはできない。そのかわり、猫の日めくりカレンダー"365 Cats Page-A-Day Calendar"を買って、毎日めくっては和んで…

ものまね名人 ツノゼミ (たくさんのふしぎ傑作集) (第238号)

本書の著者である森島氏も、『バシリスク 水の上を走るトカゲ(第316号)』の嶋田氏と同じく、偶然出会って一目で恋に落ちたものを追っかけ始めたクチだ。 仕事でボリビアに行くことになった森島氏は、前々からの憧れ、ヘルクレスカブトムシやモルフォチョウ…

お姫さまのアリの巣たんけん (たくさんのふしぎ傑作集) (第150号)

ここ3年、毎年のように参加しているのが近隣大学の公開講座「身近なアリを知ろう」。 アリについての講義の後、“アリエンテーリング”の活動が始まる。先生お手製の吸虫管を使って構内のアリを採集しては顕微鏡を使って同定し、レア度に応じて点数を競うもの…

バシリスク 水の上を走るトカゲ(第316号)

本号は、 1995年、ぼくははじめて中央アメリカのコスタリカを訪れました。 という一文から始まる。 コスタリカと聞いて思い出したのが「水曜どうでしょう」の「中米・コスタリカで幻の鳥を激写する!」という企画。鳥関連には目ざとい子供がTOKYO MXで放送し…

鳥の巣(第229号)

ここ1年、子供の趣味に付き合ってバードウォッチングをしている。 夫がすぐに影響を受けて自分もやり始めた(登山のついでだが)のとは対照的に、私の方はいつまでも初心者の域から抜け出せないでいる。私は、本質的には「自然」に興味がないのだろう。その…

家にいたイリオモテヤマネコ(第351号)

タイトルの「家」はうちと読ませる。 つまり作者の家で、あの天然記念物であるイリオモテヤマネコを飼っていたというお話なのだ。 この作者は何者か?動物学者?ヒントは戸川という名字にある。 作者の戸川久美氏はあの戸川幸夫氏の娘なのだ。若い世代は知ら…

昆虫の体重測定(第373号)

本号はタイトルそのまんま、あらゆる昆虫の体重を量ってみたというものだ。 そんなシンプルな内容なのに、これがまたすごく面白い。世界最大のカブトムシだの、世界最大のチョウだの、体長に関しての話題は多いが、体重にスポットが当てられることは少ないか…

わたしたちのカメムシずかん やっかいものが宝ものになった話(第380号)

以前この記事で、仮説実験授業のことを取り上げたが、その提唱者である板倉聖宣先生が亡くなられた。 板倉先生のすごいところは、仮説実験授業そのものではない。子供の気持ちを知るのは難しい、だからこそ子供たちに聞かなければ分からないことも多いのだ、…

カブトムシの音がきこえる 土の中の11か月(第396号)

家の子は、驚くほどカブトムシに興味がない。バッタ類は頑張って飼おうとしていたこともあるが、カブトムシは一顧だにしなかった。市内にはカブトムシがよく捕れる公園もあるし、時期にはトラップが仕掛けられていたりする。興味を持つ環境は整っていると思…

大根はエライ (たくさんのふしぎ傑作集)(第222号)

大根はエライ!高い! 今年の大根は高嶺の花。いつもなら今ごろ、おでんに煮物、鍋物、大根餅などなど大活躍しているはずなのに、今年と来たら、小さいくせに値ばかり張ってとても買えるものではない。生産者の皆さんも頑張っているのだろうが、こればかりは…

みんなで龍になる 長崎の龍踊り体験(第395号)

私はけっこう長崎を訪れている方だが、実のところ「龍踊(じゃおどり)」を見たのは長崎ランタンフェスティバルの時の1回きりだ。本来おくんちに奉納されるものなので、本当はこの時に見るのがいちばんなのだろう。 しかし、この本で描かれるのは龍踊りを見…

ナミブ砂海 世界でいちばん美しい砂漠(第374号)

「たくさんのふしぎ」は絵本だ。基本は絵と文でできている。 本号を含む三年間(第361号〜第396号)36冊でざっと見ると、絵で作られたものが22冊、写真で作られたものが14冊。6割くらいは絵で作られている。「こどものとも」「かがくのとも」で長年培ってき…

水辺の番人 カワウ(第392号)

カワウの扱いはカラスのそれと良い勝負だ。 どちらもありふれた鳥で、はっきり言えば嫌われもの。むしろ害鳥としてマークされる存在でもある。子供とバードウォッチングしていても、あれ何かな?あ~カワウかあ……という感じで、あまり観察されることもない。…

石ころ 地球のかけら (たくさんのふしぎ傑作集)(第77号)

今住んでいる市では「水辺の楽校」というイベントを開催している。 市内を流れる川で川遊びしたり、自然観察をしたり。身近な自然に親しむ活動だ。1年生のときから参加しているが、イベントによっては抽選に外れることもある人気ぶりだ。 中でも「石ころウ…

ミクロの世界 (たくさんのふしぎ傑作集)(第81号)

昨冬の、子供のクリスマスプレゼントは双眼鏡だった。 夏に谷津干潟に行ったときに借りたのと同じもの。レンジャーの方もおすすめしてくださっていた。小学生へのプレゼントとしては分不相応*1かなあとも思ったが、直後からさっそく活躍中。鳥見に熱中するあ…

手で食べる?(たくさんのふしぎ傑作集) (第158号)

学生時代、“ただのサークルの先輩”だった今の夫に、昼飯に連れていかれたのが、今は無き高田馬場のインド料理店「マラバール」。今でこそ、エスニック料理は家で手作りもするなじみの味だが、入学したての私にとって、タンドールで焼かれたナンもスパイスの…

好奇心の部屋 デロール (たくさんのふしぎ傑作集) (第225号)

『モグラの生活 (たくさんのふしぎ傑作集)(第267号)』でいろいろ調べていて行き当たったのが「モグラ博士」のお話。 印象的だったのが、さまざまな動物たちの標本を、地道に収集することの大切さだった。先日参加したここのイベントでも、野外利用指導員の…

モグラの生活 (たくさんのふしぎ傑作集)(第267号)

表紙タイトルの「モグラの生活」、よく見ると“グ”の濁点がもぐらを模していてとても可愛らしい。 身近にいながら、これほど姿を見ない動物もないだろう。近所の河原の土手や近隣大学の構内などでモグラ塚は見かけるけれど、モグラ自体を見るのは皆無だ。どん…

古くて新しい椅子―イタリアの家具のしゅうりの話 (たくさんのふしぎ傑作集)(第143号)

私は一人っ子だ。何でも新しいものを買ってもらえてたかというと、そうでもなかった。 例えば勉強机。これは父が使っていた事務机のお下がりだった。何の変哲もないただの事務机。可愛らしさのかけらもない。椅子にいたっては中古屋で買ったもの。これまた、…

地蔵さまと私(第394号)

本号の著者、田沼武能氏は、ライフワークとして日本や世界各地の子どもたちの写真を撮り続けている。その原点となるのが、 私がお地蔵さまを意識するようになったのは、本誌冒頭にも書いているが、1945年の東京大空襲の翌朝に防火用水槽の中で焼死していた子…

みらくるミルク (たくさんのふしぎ傑作集)(第131号)

冬休みも終盤戦に入り、宿題の追い込みに余念がない。もっとも追い込むのも、余念がないのもあくまで私の方だけ。肝心の子供はというと、なんのこっちゃという感じで鳥の本を読み耽っているわけで……。夏休みとまったく代り映えしない光景に加え、またもやド…