こどもと読むたくさんのふしぎ

福音館書店の月刊誌「たくさんのふしぎ」を読んだ記録です。

社会

ぼくは少年鉄道員 (たくさんのふしぎ傑作集) (第242号)

この号は珍しく、雑誌と傑作集の表紙が異なっている。 雑誌は、地味目の背景に正面からやってくる列車の色が映えて、かわいらしい感じだ。傑作集は傑作集で、空の色と列車のカラーと地面の緑が調和してとても美しい。どちらも捨てがたい。 本の舞台は、ドイ…

村を守る、ワラのお人形さま(第356号)

今回のゴールデンウィークは、子供が野鳥ブームということで、野鳥観察中心の旅をした。初日は、野辺山高原一帯に行ってみたが、この本によると夏冬の方がおすすめらしい。それでも、以前から見たがっていたヒバリを見ることができたり、キビタキの愛らしい…

海べをはしる人車鉄道(第261号)

子供が鉄“道”を邁進していた頃、本号の作者、横溝英一氏の本には大変お世話になった。福音館から出ている本はすべて読んでいるし、小峰書店の本もほとんどを読んでやっている。横溝氏の描く線や色づかいは、きちっとしていながらも温かみがある感じで、読ん…

カレーライスがやってきた (たくさんのふしぎ傑作集)(第45号)

初っ端に出てくるのが「カエルカレー」。 買えるカレーではない。『西洋料理指南』という100年以上も前の本に出てくる、日本で最初のカレーレシピだという。 どこかのレストランかで再現してもらうのかと思いきや、 ぼくは、どんな味かわからないけれど、こ…

いっぽんの鉛筆のむこうに (たくさんのふしぎ傑作集) (第1号)

創刊号というのは、あらゆる要素が詰まっている。 その雑誌が何を目指しているのか、誰に向けて何を伝えたいのか、いちばん良くわかるのが創刊号だ。 このブログは、私の趣味で小学校の教科に合わせてカテゴリー分けをしているが「たくさんのふしぎ」を教科…

おしりをふく話 (たくさんのふしぎ傑作集)(第162号)

『トイレのおかげ (たくさんのふしぎ傑作集)(第141号)』で紹介した記事の伊沢氏は、葉っぱでおしりを拭いていた。昔の人も、トイレットペーパーが登場するまでは、いろいろな物でお尻の始末をつけていた。 トイレットペーパーの前はチリ紙。夫の祖父母の家…

どうして、お酒飲むの?(第204号)

ホントにどうして、でしょうねえ……おいしいから、かな? 私は酒飲みの端くれで、若いときは失敗も数多くあった。恥ずかしくて思い出したくもないことだ。晩ご飯の買い物する時、その日飲みたい酒に合うおかずから考える始末。お察しである。 生活を一変させ…

青函連絡船ものがたり(第34号)

母のふるさとは北海道にある。 学校の長期休みのたび、飛行機に乗って祖父母の元へ行っていたものだ。 ある時、青函トンネルの完成に伴い青函連絡船が廃止されるというニュースを知った母は、最後に乗りに行こうと言い出した。飛行機に慣れている母が、長時…

カステラ、カステラ!(たくさんのふしぎ傑作集) (第251号)

子供の好みはわからない。瓦せんべい系は好きなのに、クッキーは食べなかったり。アイスクリームは食べるのに、生クリームのケーキは嫌いだったり。ケーキは食べないくせに、カステラは大好きなのだ。 カステラといえば、長崎。長崎にはこれまで何回行ったこ…

コアジサシ ふるさとをなくした渡り鳥(第266号)

“ふるさと”というのは、日本にある「営巣地」。 コアジサシは春、日本に渡ってきて繁殖期をむかえ、子育てをするのだ。 著者は野鳥調査をする中で、子育て中とおぼしきコアジサシたちが、不自然な方向に飛び去っていくのを目撃する。追って捜索してみると、…

トイレのおかげ (たくさんのふしぎ傑作集)(第141号)

野糞したことがある、という人は案外にいるのではないだろうか? かくいう私も、山行で何回かしたことがある。人目さえ気にならなければ、最高に気持ちいい行為だ。自然と一体になったかのような幸福感がある。都市部のマンション住まい、排便は1日およそ3…

分水嶺さがし(第377号)

子供はNHKの「ブラタモリ」が大好きで、毎週欠かさず見ている。 こちらでは、疑似社会科学という言葉が出てきて「どうもサイエンス的な裏付けが弱い気がする」と述べられているが、具体的にどこがどうという説明がないので何とも言えない。 ブラタモリの真骨…

ノースウッズの森で (たくさんのふしぎ傑作集) (第246号)

本書は、”ノースウッズシリーズ”の最初の作品だ。 出版順は、 『ノースウッズの森で(第246号)』 『春をさがして カヌーの旅(第253号)』 『森のおく 湖のほとり ノースウッズを旅して(第330号)』 『カリブーの足音 ソリの旅(第381号)』。 つい最近、…

カリブーの足音 ソリの旅(第381号)

『春をさがして カヌーの旅(第253号)』は、ノースウッズの春を旅したものだった。『カリブーの足音』は冬を描いたものだ。 今回も旅の相棒はウェイン。冬になると、今度はカヌーではなく木製のそりに荷物を載せ、自分の力で引きながら旅に出る。そんなウェ…

コテングコウモリを紹介します(第324号)

『エゾクロテンのすむ森で(第314号)』で書いたイベントでは、先生がこのコテングコウモリの剥製を持ってきてくださっていた。思いの外ずいぶんかわいらしい。生きているときはどんな生きものだったんだろう? というわけで読んでみたのが、この『コテング…

春をさがして カヌーの旅(第253号)

『日本じゅうの4月1日(第37号)』で「4月1日に子供と家のまわりを観察してみる」と書いた。この日は近隣の県に出ていたので、そこでの観察について「日本中の4月1日」風に記してみる。出かけたのは千葉県にある「我孫子市鳥の博物館」。我孫子駅から手賀…

屋上のとんがり帽子 (たくさんのふしぎ傑作集) (第210号)

屋上のとんがり帽子 (たくさんのふしぎ傑作集) 作者: 折原恵 出版社/メーカー: 福音館書店 発売日: 2008/01/20 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 表紙写真を見て、なにをテーマにした本だと思うだろうか? とんがり、という言葉に引きず…

日本じゅうの4月1日(第37号)

4月1日といっても、エイプリルフールの本ではない。 今、この号を手に取る人はあまりいないと思うので、どんな内容か、表紙ウラの言葉から引用してみる。 ● この本ができるまで 日本は南北にほそ長い国です。冬、長いあいだ雪にうもれる北国もあれば、ぜん…

和菓子のほん (たくさんのふしぎ傑作集) (第231号)

洋菓子好きの母親に似ず、子供の好みは和菓子にあるようだ。 バターをふんだんに使ったクッキーや、クリームたっぷりのケーキには見向きもしない。好きなものを選んできなさいと菓子売場に送り出した後、子供が持ってきたのは「かりんとう」。そして「かわら…

観覧車をたずねて(第310号)

「たくさんのふしぎ」を子供に読み始めたのは、確かこの号からだったように思う。 子供とどこかに出かけたりする前とか後とか、関連した本を探して読むようにしていた。たいがいは「かがくのとも」で、あとは小さな子供向けの科学絵本や写真絵本など。 観覧…

あみださま大修理(第263号)

私は長らく、仏像など寺社仏閣に関わるものを「美術品」としてしか見てこなかった。 変わったのは、子供が生まれてからだ。これまではおざなりに手を合わせ、頭を下げていたものを、真剣に礼拝するようになった。子供が大病や大怪我をすることなく、無事育ち…

本のれきし5000年 (たくさんのふしぎ傑作集)(第56号)

読書離れを子供の問題にしてはいけないと思う - スズコ、考える。 この記事の元になった新聞の読者投稿は、私もリアルタイムで読んでいる。 “読書をしなければいけない確固たる理由があるならば教えて頂きたい” と問う彼に、答える言葉を持ち得ているだろう…

鬼が出た (たくさんのふしぎ傑作集)(第23号)

子供が4歳くらいの頃。 友人が、これすごいんだよーって見せてくれたのが、 「鬼から電話」 という今では有名になった“子育てサポートアプリ”だった。 ー下の子はもう、お父さんに言うよ!も効かなくなっちゃってさ〜試しに使ってみたら効果覿面よ〜 彼女は…

ぼくは盆栽(第126号)

これは盆栽についての本ではない。 『ぼくは盆栽』というタイトルどおりの本である。すなわち、 ぼく=盆栽 "I am a Bonsai" ということ。 巻頭にはこんな言葉が書いてある。 そんな盆栽がすきですきでとりつかれてしまったぼくは、ある時、盆栽の精となって…

森をそだてる漁師の話(第132号)

わが家は転勤族のため、数年おきに日本各地を転々とする生活をしている。 新しい土地を巡る、旅のような暮らしも悪くはないが、一つの土地に根ざした生活にも憧れることがある。 先日、NHKの「小さな旅」で見たのは、開拓に入った土地で苦難の時代を分かち合…

コウテイペンギン撮影記(第201号)

私の夢の一つは「野生のペンギンを見ること」。 近年、動物園や水族館でのペンギンの展示はかなり進化して、南極風の真っ白い風景に置かれるだけ、ということも少なくなってきた。 長崎ペンギン水族館は、ふれあいペンギンビーチと称し、自然の海で泳がせる…

家をせおって歩く(第372号)

これまでに100冊を超える「たくさんのふしぎ」を読んできた。しかし、バックナンバーは絶版のものも多く、ほとんどは図書館で借りて読んだものだ。 『家をせおって歩く』は、借りて読んであまりにも面白かったので自分でも買うことにした。 もう1冊買って、…